【放送内容】
*1970年代の日本のフォークソングブームを語る上で決して外すことができない名前のひとつが《六文銭》。番組冒頭でご覧いただいたのは、《六文銭》の代表曲「雨が空から降れば」。メンバーの一人・四角佳子が近年のソロライブで歌った映像である。クールな中にある種の「滋味」も響く歌声と共に、その立ち姿の美しさが強く印象に残る。
*その〈六文銭のおけいさん〉が、ミニスカート姿で溌剌と踊る映画があるのをご存知でしょうか?番組で話が及んだのは1968年公開の映画「初恋宣言」(松竹・梅津明治郎監督)。西野バレエ団の精鋭ダンサーユニット《レ・ガールズ》がメインキャストを務める作品である。主役は現在も女優・歌手として活躍中の、あの方。そしてこの映画に、四角さんは《志摩ゆき》という名前で出演していたのだっだ。
*1952年3月・大阪生まれの四角さんは、子供の頃からクラシックバレエを習っていたという。その経歴の中で10代半ばで門を叩いたのが「西野バレエ団」。60年代半ばからTVや映画にスターを次々と送り込んでいた名門バレエ団である。四角さんも「6人目のレ・ガールズ」に抜擢され映画デビュー。そして1970年にはソロ歌手・志麻ゆきとしてシングル「風に乗って」をリリースする。
*ミニスカートの《レ・ガールズ》からフォークへ。かなり大きな方向転換のようだが……。
「『風に乗って』の作曲が小室等さん。私が西野バレエ団に入った時に『デビューしましょう』という事になりまして。『小室等さんという人がいるからギターを教えてもらいなさい』と。そして小室さんのところに初めて伺ったんです」(四角佳子)
この時に始まった小室氏との縁から、翌1971年に《四角佳子》として《六文銭》に加入。そのレパートリーには、上條恒彦とのコラボレーション作「出発の歌-失われた時を求めて-」なども含まれる。
*「すごく中身の濃い1年間でした」(四角佳子)
四角さんが加入した翌年に《六文銭》は解散した。直後に四角さん自身も結婚、レ・ガールズも含めて約4年のステージ活動にきっぱりと幕をひく。「それで、『ウズウズ』してたの?歌いたいという気持ちは……」という昌和さんの問いに「全然。子供もいましたし、そちらの方に夢中だったので……」。
*長い時間を経て2000年。共に六文銭のメンバーだった及川恒平に久しぶりに会い、横浜で開催される及川さんのライブの客席に招かれた四角さん。このライブのゲストが、他ならぬ小室さんだった。「何だ、おけい。来てるならちょっと(ステージに)上がってらっしゃい!」この一言で、再び<歌手・四角佳子>の幕が上がることとなった。
*「やっぱり嬉しいのは、20代の時に一緒に始めた人たちがずーっとやっている事ね。だからそこから声かけられたりして、またやれるんだよね。きっとまだ誰かの<復活劇>があるよ」(東郷昌和)
実は東郷さんも、スタジオワークや指導者としての活動が長く続いた後、大野真澄氏の誘いをきっかけに、再びステージに上がりだしたという。
「あと、地方の方に接することが多くなったんですよ。それでびっくりするような喜びが一杯あったんです。『そんな風に待っててくれたんだ』って……。(1970年代)当時は大きな会場でいろんな人たちと一緒にやって、終わった後ファンの方と交流することはなかったじゃないですか。すぐ夜行列車で次の会場に移動するような。今はライブハウスで、本当に近い距離で聴いてもらって、終わってみんなでお酒飲んだりというのが、もう楽しくて!」(四角佳子)
「確かに人数は昔に比べると少ないんだけど、すごく近しいところでできるし、聴いてくれた人たちが感動を直接伝えてくれるんで。やりがいがあるんですよ」(東郷昌和)
*四角さんのステージ復帰を機に再集結した《六文銭》は、その後こむろゆいを加え4人となり、2018年にアルバムをリリースした。六文銭、ソロ活動、そして様々なスタイルでのコラボレーションなど多彩な形で活動を続ける四角さんの立ち姿は、誰かの新たな<復活劇>の呼び水となるのかも知れない。
【エピソード】
「実は僕、『象印スター物まね合戦』に上條さんの『ど~こかで~♪』で出たんですよ」(東郷昌和)
前述の「出発の歌」(上條恒彦と六文銭)のヒットを受け、再び上條恒彦と小室等がタッグを組んだ「誰かが風の中で」(ドラマ「木枯らし紋次郎」主題歌)。BUZZはこの曲で物まね合戦にエントリー。昌和さんの歌は上條さんそっくりだったが、相方の小出さんのドラマナレーションが今一つだったため受賞を逃したのだとか。
【使用楽曲】
♪雨が空から降れば(四角佳子)別役実作詞/小室等作曲
♪風に乗って(志麻ゆき)ふじこうのすけ作詞/小室等作曲
♪インドの街を象にのって(六文銭)及川恒平作詞/小室等作曲 ※ピアノ:ヒロ柳田、バンジョー:石川鷹彦
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